目次
三者面談で発覚した未提出問題
息子が中学二年生の一学期末、
三者面談を終えて帰宅後。
テーブルの前に息子は棒立ち、
妻は頭を抱えて突っ伏していた。
卓上に広げられているのは、
学期末の大イベント、
成績表だった。
「普通に学校通ってたら、成績表に【1】が付くなんて、ありえないんだけど?」
普段穏やかな妻の、
重厚な怒気を含んだ声。
英語の成績が1。
他教科は2が3つほどついている。
確かにテストの点数は良くはなかったが、
それにしてもな成績に、
正直愕然としていた。
怒りというより、
疑問と驚きしかなかった。
原因は簡単。
─── 提出物を一度たりとも出していなかったから
英語はもちろん、
全ての教科や学活において、
あらゆる提出物を無視していたからだ。
※この記事は以前公開したものを、
より細かく深度を上げた内容になります。
小学校高学年~高校受験までまとめた戦いの元記事はこちら
⇒自宅学習支援システムをなぜ作ったのか? 子どもの成績が上がらない苦悩とスマホ依存症
成績に1がつく原因と影響
普通に学校に通っていれば取る事のない数字。
それくらい深刻な何かがあるという事。
・授業態度が悪い
・出席日数が足りない
・提出物や約束を守らない
息子の場合、
『提出物や約束を守らない』が該当する。
成績に1が付けられた場合、
まず内申点に大きく影響が出る。
推薦は絶望的になる可能性が高く、
評価を後々に挽回するには、
よほど大きな転換と努力が必要になる。
(約束を守れない人間を、学校の代表として推薦出来ないのは当然)
息子は学校内での人当たりは良く、
ある程度の正義感と、
責任感の強さは評判があったようだ。
提出物を無視し、
それを再三に渡って注意されたのも関わらず、
対応すら流していた。
人間的な評判を台無しにしたのだ。
小学生時代はどうだったか?
実は提出物の問題が起きたのは、
これが初めてではなかった。
部屋に隠し持ったスマホで、
1日に10時間以上も没頭し、
大きく生活が荒れた時期があったのだ。
発覚したのは小学5年生。
いわゆる【小4の壁】にぶつかり、
今までの立ち回りでは対応できなくなった時に、
デジタル世界に逃避した流れ。
それらを親に悟られまいと、
驚くほど巧妙に逃避を隠し、
問題発覚まで時間がかかったのだ。
スマホを取り上げ、
Wi-Fiのパスを変更し、
学力補填のために塾へと通わせ始める。
本人も反省していたようだ。
それで問題は解決したと思い込んでいた……。
※【小4の壁】についての詳細はこちらから
⇒小4の壁はなぜ起こる? 算数のつまずきが中学で響く理由
ADHD気質と離人感風な性質
彼にはややADHD気質な所がある。
(注意:専門的な診断名そのものではなく、親から見てそうした傾向があると言う事です)
・スケジュール立てて進めることが苦手
・目に見えないものは認識が薄い
・注意力が散漫になりやすい
・その反面、過集中すると際限がない
・順序立てた思考より、思いつきに飛びつく
・新しい知識を求めるより、手の内の知識で対応する
これらの特性に加えて、
【0か100か】のような両極思考もあり、
現実と思惑がズレた時の反動が大きいようだ。
『思ったんと違う』
これが一般よりダメージが大きく、
立ち回りが崩れたり、
メモリーを超過し始めると現実感を失う。
『まるで自分が、高くて少し後ろから、自分を見下ろしているような感覚』
いわゆる離人感(離人症)風な状態になっているようだ。
この離人感が原因なのではなく、
あくまで特性と現実の摩擦で生まれた副産物であり、
この摩擦を解消さえすれば副産物も消える類のもの。
提出物を出さなかった理由
彼が中2になり、
再びこういった状態になったのは、
いくつか理由が考えられる。
・授業で問題を解くのに必要な思考法が、より複雑になってきた
⇒今までのやり方から変えないと解けないのに、手慣れた方法で挑もうとする
・提出できる所まで問題を解いたり処理ができない
⇒順序やスケジューリングの脆弱性
・提出物があることをど忘れする
⇒学校に通う事でいっぱいいっぱいで、提出物への認識がすっぱ抜ける
・提出物が自分に関係のある物だという認識が欠如している
⇒必要性を認識できないから、そもそも他人事
これらの理由が複合的に合わさり、
『マイナスなことである』という自覚が、
薄っすらとどこかにある。
だからこそ、
やっているフリを非常に上手くやるし、
問題発覚までの時間がかかりやすい。
(0か100かの思考は、自己防衛にも極端な力の割り当てを行う)
特に【必要性を認識できないから、そもそも他人事】が、
息子にとっては猛威を振るっていたのではないだろうか?
小学生時代にやらかした事を、
再び繰り返している罪悪感は、
より現実感を失わせていたことだろう。
学力の低下を起こしながら、
彼はまた親の部屋からデバイス機器を盗み出し、
デジタル逃避(スマホ依存症)へと突き進んでいった。
※この時期に実際に起きていた流れはこちらから
⇒自宅学習支援システムをなぜ作ったのか? 子どもの成績が上がらない苦悩とスマホ依存症
現実感に落とすために
・なまけている
・逃げている
・大人をなめている
表面的なものだけ見ていれば、
そう判断されて怒鳴られたりする事もあるのではないだろうか?
しかし、彼に提出物を出さないで過ごしていた理由を聞けば
『…………めんどうくさかったから』
と、やはり他人事のような口調で、
手の内にあるどこかで聞いた正解を返しているだけ。
そこまでに至る、
自分の中で起きていた防衛機構がどんなものか、
理解は出来ていない。
(普通の大人でもよく陥ること)
人間、自分の事だって、意外と理解は出来ていないものだ。
知らない内に形作られたこうした防衛機構は、
ほぼ無自覚のまま繰り返されることがあり、
社会的に問題になる行動として苦しむ人も多い。
こうした心の反応は、
多くが現実とのズレから、
身を守るために生まれた【選択の誤学習】と考えると分かりやすい。
つまり現実感を持たせるには、
努力や『目を覚せ!』といった叱咤ではなく、
防衛のための選択がどう誤っているのかを、
自覚させる事が重要だと僕は考える。
学力の問題・必要性と認識の問題
まあ、当然隠し持っていたタブレットおよび、
デバイス機器関連は取り上げて、
逃避のルートは潰す。
まずは『いわれのない不安感』の芽となる、
学力の遅れに関して、
具体的な道筋を立てることにした。
ここで将来の事や、
精神論などの目に見えない問いかけをしても、
目に見えないものなので効力は薄いのは分かりきっているから。
1日のスケジュール表を作らせ、
宿題の時間・遅れた学習への復習・未提出物のリカバー、
これらを夏休み中にみっちりとやらせる。
遅れている学習に関しては、
『何がわからないか』『どこでつまずいたのか』を、
意識的に認識させることを重要視。
元の原因が何であれ、
明らかに自分の中の不安に対し、
アプローチを重ねる事になるのだ。
結果的にデジタル逃避(スマホ依存症)の毒も抜け始め、
明らかに現実感が出てきたであろう頃、
再び成績表を前に話し合った。
『なぜ、成績に1がつけられ、それがどう現実に影響するのか』
※遅れた学習の取り戻しに関する記事はこちら
⇒何がわからないかわからない子どもの正体と対策|勉強につまずいたとき親ができること
反省は超えた頃にやって来る
と、成果だけをまとめれば上記のようになるけど、
実際は地獄の様な夏休みだったし、
もう一度スマホ依存症からの事件が起こるのだが……。
それらを乗り越えたのは、
夏休みを終えた9月の終わり頃。
そこでのやりとりもあって、
総合的に自己防衛の方法に、
選択の誤りがあったと理解したようだ。
人生に無駄はないとは言うけど、
親としてはたまったモンじゃないから止めて欲しい……。
これまでの事件をまとめられたのか、
本人から自発的に謝罪を申し込んで来るまでには、
現実感を取り戻せたようだった。
そこからは、
『最近、人が変わったようにがんばってるな』
と先生達から声をかけられたこともあり、
自己評価の再構築に繋がったらしい。
・提出物をする事の社会的意味
・勉強をするという事の意味
・努力の積み重ねが、向上心や夢を作るということ
ここに来るまでに、
あのテーブルで妻が突っ伏していた時から、
2ヶ月以上はかかっているわけで。
少し怒られて、
『ごめんなさい、頑張ります』とはならないタイプは、
自分の中で腑に落ちるまで時間がかかるのかもしれない。
まとめ
中学生は昔から言われているように、
難しい年頃だなぁと思う。
それはただでさえ、
自分の心と、
それを守るために無意識に取っている選択が、
複雑な脳を持っている人間は自覚するのが難しい。
そんな中、
認知力が段々と上がり、
取れる対応策も増えてくる年頃。
でも、まだまだ未熟。
何がどう悩みに繋がっているのか、
どんな選択に突き進んじゃってるのか、
知恵のついた大人から判断するのは難しい時もある。
ただ、大人に比べて、
対応が取りやすい所があるとも思う。
・自分は変えられないと思い込んでいる年月が短い
・今の生活を失うような責任や基盤が自分にない
・問題の多くが学力に関すること
・学力に関しては対応策が多く存在していること
・常識にとらわれる程の常識は詰め込まれていないこと
・学習能力が非常に活発な年齢であること
単に感情で言い聞かせる程に、
まだまだ完成していない。
だからこそ、
明確に不安と向き合い、
今打てる手を見つけることで変化は速く訪れる。
自己防衛の手法、
その選択の誤学習を、
早い時期に是正できるのは若さならではとも言えだろう。
また、こうして親として寄り添う事は、
自分自身への発見にも繋がる事がある。
人生に無駄なことはない
確かにそうかも知れない
2度は嫌だけど……w
この記事は以前公開したものを、
より細かく深度を上げた内容になります。
※小学校高学年~高校受験までまとめた戦いの元記事はこちら
⇒自宅学習支援システムをなぜ作ったのか? 子どもの成績が上がらない苦悩とスマホ依存症
▼この息子との一連の流れから生まれた、家庭学習サポートシステム
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