ブログ『AIオーケストレーション2026年版|人間が指揮していたら、AIたちが勝手にオーケストラを始めた』のアイキャッチ画像

2026年1月。
僕はこんな記事を書きました。

iPhoneアプリ個人開発のスタートをAIオーケストレーションで高速化してみた話

当時の僕は、

ChatGPT
Gemini
Codex CLI
Antigravity

といった複数のAIサービスを使い分け、
「これはもうAIオーケストレーションだ!」
と喜んでおりました。

それから約半年。
2026年8月。

改めてAIを使った制作環境を見回してみると、
ちょっと妙なことになっています。

人間がAIをオーケストレーションしていたはずなのに、
AIサービスの方が勝手にオーケストレーションを始めている。

楽団員だと思っていた人たちが、
自分で譜面を読み、
隣の楽器と相談し、
舞台を組み、
照明まで調整し始めた。

指揮者としては、

「そこまでやるんだ……」

という感じです。

今回は、2026年1月から約半年。

個人開発やWeb制作の現場でAIを使い続けて、
AIとの仕事がどう変わったのか。

実際の体験から振り返ってみます。


2026年1月、AIはまだ「開発を助ける仲間」だった

半年前もAIは十分すごかった。

ChatGPTと相談すれば企画を整理できる。
Geminiに聞けば違う視点から意見をもらえる。
Codex CLIにコードを渡せば、人間では考えられない速度で修正してくれる。
Antigravityなら、大きなプロジェクトを一気に形にすることすらできる。

ただし。

まだまだ「人間がかなり細かく面倒を見る必要がある仲間」でもありました。

AIの記憶がよく切れた

大きなプロジェクトを進めていると、
昨日まで話していた前提と、
今日の回答が微妙にズレる。

最初に決めた設計を、
途中から急に無視し始める。

数十ファイル規模になってくると、
全体のつながりを保つのが難しくなる。

そんなことが頻繁にありました。

そのため、

「まずここまで作る」
「次にこの部分を確認する」
「その次にこの機能を追加する」

と、
かなり細かく工程を区切る必要がありました。


Codex CLIは頼れる職人。でもちょっと怖かった

当時、実際のコーディングで中心になっていたのはCodex CLI。
これが非常に優秀でした。

実際のファイルを見て、
コードを書いて、
エラーを直して、
必要なら環境まで整えてくれる。

ただし、
かなり職人気質。

こちらが何か話しかけると、

「了解しました」

くらいの勢いで作業を開始する。

そして画面の向こうで、
ものすごい速度で何かをやっている。

初心者の僕としては、
「待って待って、今なにしてるの!?」

となることも多々ありました。

うまく行けば爆速。

しかし前提を間違えたまま走り始めると、
何かを直すために何かを作り、
そこで出たエラーを直すためにまた何かを作り、

いつの間にか、

最初の問題より構造が複雑になっている。

そんなこともありました。


ChatGPTとGeminiの主役交代が激しかった

当時のもう一つの特徴が、
モデルの更新によって能力差がかなり変わったこと。

ChatGPTがアップデートされる。

「うお、すげえ!」

しばらくするとGeminiがアップデートされる。

「姉さん、やっぱり頼れる!」

またChatGPTが進化する。

「やっぱりこっちか?」

そんな感じで、

僕の中の「メインAI」がよく入れ替わっていました。

どちらも優秀。

でも得意不得意も大きく、
大きなプロジェクトでは、
人間側がそれぞれの能力を見極めて役割を割り振る必要があった。

これが2026年1月頃の、
僕なりのAIオーケストレーションでした。


半年で何が変わったのか

では、2026年8月現在。
何が変わったのか。

一言で表現するなら、

「AIが一回り、仕事仲間らしくなった」

という感覚があります。

単純に回答が賢くなったというだけではありません。
仕事の流れそのものが変わっています。


ChatGPTが「総監督」になった

まず大きいのがChatGPT。
壁打ちの安定感がかなり上がりました。

以前の会話や、
過去に進めていたプロジェクト、
僕自身の考え方や方向性などを踏まえて、
前後をつなげながら話が進みやすくなった。

これが大きい。

例えば、

「前に作ったQRコードの仕組みを踏襲して、新しい企画を考えたい」

という話をした時、
以前ならこちらから改めてかなり説明する必要がありました。

今は、

「あの時の設計思想なら、今回はこちらですね」

というところから話が始まる。

その結果、

企画の壁打ち

方向性の整理

仕様の決定

Codexへ渡す指示書作成

までが一気につながるようになりました。

現在、僕の制作環境では、
ChatGPTが総監督

という立ち位置になっています。


Geminiは「マネージャー兼ツッコミ役」

Geminiの進化もかなり大きい。

特に便利なのが、
ブラウザ上で、今見ているものをそのまま相談できること。

これがWeb制作と異常に相性がいい。

ローカル環境で制作しているページでも、
ブラウザで開けさえすれば、
その画面を見ながら相談できる。

「この広告配置どう?」
「このUI、分かりにくくない?」
「スマホ表示でここ邪魔じゃない?」

そうした相談が非常に速い。

特に、

UI / UX
広告配置
Google AdSense
完成間近の細かい調整

では神がかって便利です。

さらに面白いのが、
ChatGPTとの壁打ちそのものをブラウザで開き、
その対話をGeminiに見せて意見をもらう
という使い方。

つまり、

ChatGPTと企画会議

Geminiが会議を覗く

「そこ、こうした方がよくないですか?」

となる。

完全に、
会議室に別部署のマネージャーが入ってきてツッコミを入れている状態。

視野を広げる意味で、とても強い。


Codexは「職人」から「制作会社」になった

僕の中で、一番印象が変わったのがCodexです。

以前のCodex CLIは、
目の前のコードをなんとかする職人。
という印象でした。

現在のCodexアプリは、
そこからかなり進化しています。

完成した仕様書を渡すと、
単純にコードを書くだけではなく、

「この技術を使うなら、この構成の方が安全です」
「既存環境なら、新しいライブラリを追加せずこちらを再利用できます」
「この仕様だと将来的にここが問題になります」

など、
実装前に現実的なツッコミまで返してくる。

これはかなり大きい。

その意見を再びChatGPTやGeminiへ戻す。
また相談する。
仕様をブラッシュアップする。

そしてCodexへ戻す。

この往復で、
以前よりかなり安定した設計になります。

さらに実作業に入ってからも、
昔のような

「パディングで無理矢理なんとかしました!」

みたいな力技が減りました。

局所的な問題だけを見るのではなく、
全体の設計バランスから解決方法を考える
傾向がかなり強くなっています。

僕の感覚では、
職人だったCodexが、制作会社になった。

そんな変化です。


総監督ChatGPT、マネージャーGemini、制作会社Codex

現在の僕のAI環境を、
無理矢理会社組織にすると、
こんな感じになります。

ChatGPT

総監督・企画担当

壁打ち
企画整理
問題の切り分け
仕様書作成
SEO文章
全体方針

Gemini

マネージャー・外部監査

ブラウザ視点での確認
UI / UX
広告配置
別視点からのツッコミ
完成直前の精査

Codex

制作会社

実装
ファイル操作
技術選定
環境確認
コード修正
実際の制作作業

そして最後に、

人間
社長兼雑用。

です。


「相談するAI」と「作るAI」が完全に分かれてきた

前回の記事を書いた頃は、
一つのAIに、
企画も、
相談も、
コードも、
全部お願いすることが多かった。

現在はかなり違います。

相談するAIと、作るAIがはっきり分かれた。

ChatGPTやGeminiには、

視野を広げてもらう。
整理してもらう。
問題を見つけてもらう。

Codexには、

現実のファイルを触ってもらう。
完成させてもらう。

この分業がとても強い。

そして、
それぞれを別々に使うのではなく、
AIから出た意見を、別のAIへ渡す。

ここが今の僕なりのAIオーケストレーションです。


と思ったら、AIの方がオーケストレーションを始めた

ただ。
ここで少し困ったことが起きました。

2026年1月、
僕は
「複数のAIを人間が指揮することがAIオーケストレーションだ!」
と思っていた。

半年後。

AIサービス側が、
ブラウザを見始め、
PCを触り始め、
ファイルを操作し、
別のサービスと連携し、
複数の作業をまとめて実行するようになった。

つまり、

AIサービスそのものがオーケストレーションを始めている。

人間がオーケストラの指揮者を気取っていたら、
楽団員たちが勝手に譜面を読み、
隣の楽器と相談し、
椅子を並べ、
舞台設営まで始めた。

「お前ら、そこまでやるん?」

という感じです。


開発だけでなく、営業・広報まで一気通貫になった

もう一つ大きく変わったのが、
AIを使う範囲。

前回の記事では、
ほぼ「アプリを作る」という開発工程の話でした。

現在は、

Webサービスを作る

公開する

Search Consoleを見る

検索キーワードを調整する

広告配置を見直す

ブログを書く

SNSやnoteで広報する

問い合わせ導線を作る

まで、
全部つながっています。

Web上の制作物は、
作ったら終わりではありません。

むしろ公開してからがスタート。

Search Consoleを見ながら、
ChatGPTとSEOについて相談する。

Geminiにブラウザで広告配置を見てもらう。

Codexに内部リンクや構造を修正してもらう。

つまりAIオーケストレーションが、
「制作」から「運営」へ広がった。

これが今の大きな変化です。


実例:一日で「Webのちょっとお助け」を作った日

最近、かなり象徴的な出来事がありました。

家庭の収入について考えていて、
「短期的に家で収入を作る手段が必要だ」
という話をChatGPTとしていました。

そこから、
僕が昔やっていたWeb制作の経験や、
現在のMORI MORI LABでの制作実績を整理。

そして、
「ホームページ制作会社に頼むほどではない、小さなWebの困りごとを受けるサービス」
というアイデアが生まれました。

名前は、
Webの『ちょっとお助け』
です。

実際のページはこちら
⇛【Webの「ちょっとお助け」ホームページ、ちょっとだけ直したい。


壁打ちから仕様書まで約30分

ChatGPTと、

誰向けなのか。
何を受けるのか。
料金はいくらか。
こちらを守る注意事項は何か。
必要なログイン情報は何か。

そうした話を整理。

30分ほどで、
Codexへ渡せる仕様書まで完成しました。


Codexで実装、約30分

仕様書をCodexへ渡す。
既存サイトを確認。
デザインを踏襲。
サービスページ作成。
トップページへの導線追加。
About usとの連携。

修正を含めても、
だいたい30分程度。

昔、
ホームページを一本作るのに、
僕は速くても2週間程度かけていました。

今は、
企画から公開まで1時間程度で進むことすらある。


Googleフォームは2秒

問い合わせフォームも必要でした。

そこで、
ChatGPTと

「作業担当者が最初に確認しておきたい情報」

を整理しました。

氏名
サイトURL
WordPressかどうか
サーバー情報が分かるか
困っている内容
希望納期
予算

など。

その文章をGoogleフォームのAI生成機能へ渡しました。

2秒。

フォーム完成。

思わず、
「すげえ」
と声が出ました。


全国向けから地域密着型まで

その後、
クラウドワーク系サービスにも窓口を作成。

さらにChatGPTとの壁打ちから、
「地方の小規模事業者なら、全国向けより地元向けの方が分かりやすい」

という話になり、
幸手・杉戸・春日部・越谷向け
の地域密着型LPも作成。

こちらも、
企画から公開まで1時間程度。

一つのWebサービスを作ったというより、
一日のうちに営業インフラそのものを組んだ
という感覚でした。

実際のページはこちら
⇛【幸手・杉戸・春日部・越谷のみなさまへ│幸手・杉戸・春日部・越谷のWebの「ちょっと困った」
お助けします。


人間のやることは減ったのか?

では、
AIがここまで進化すると、
人間の仕事はどんどん減るのか。

僕自身の感覚では、
意外とそうでもありません。

やることは相変わらず多い。

ただし、
無駄撃ちが劇的に減った。

これが非常に大きい。

以前なら、
「この方法で合っているのか?」

と調べ、
試し、
失敗し、
調べ直す。

その時間が大量にありました。

現在は、

企画段階で複数AIに相談する。
Codexが技術的にチェックする。
Geminiが外から見る。
その状態で制作に入る。

結果、
大きく間違った方向へ走ることがかなり減りました。


UI / UXは、まだ人間がかなり重要

AIがサイトを作る。

でも、

実際に触ってみる。
スマホで見る。
ボタンを押す。
画面をスクロールする。

「ここ邪魔だな」
「説明長いな」
「この言葉、分かりにくいな」

こういう部分は、
まだ人間の仕事だと感じています。

特に、
ユーザーを離脱させない仕組み。

これは単純な正解がありません。

技術的には正しい。
でも使いにくい。

ということは普通にあります。

人間が実際に使い、
気持ち悪さを感じ、
直す。

そこは今でも非常に重要です。


むしろ「何をやるか」の価値が上がった

そしてAIが賢くなるほど、
強く感じることがあります。

「何を作るか」より前の部分が重要になった。

AIは、
「こうしたい」
が決まれば、
ものすごい速度で形にできます。

逆に言えば、
「何をしたいのか」がなければ何も始まらない。

人間のアイデア力は、
まだまだ非常に強い。

さらに、
具体的なアイデアだけでもありません。

例えば、
全然関係のない話をしている途中で、
「あれ、この考え方を別のサービスに持っていけないか?」
と突然脱線する。

この、
「なんでそこをつなげた?」
という飛躍。

僕はここが、
人間の面白いところだと思っています。

AIは整理や最適化が非常に得意。

人間は、
急に祭りを始める。

これが強い。


では、人間はオーケストラで何をするのか

AIサービス側が、
自分でオーケストレーションまで始めた。

では、
人間は何をするのか。

今のところ僕は、
こう考えています。

何を演奏するか決める。
演奏会そのものをやるか決める。
途中で「やっぱり祭りにしよう」と言い出す。

このあたり。

つまり、
指揮棒を振る作業そのものは、
AIへ移っていく可能性がある。

でも、
「今日は何をやる?」

を決める人間の役割は、
むしろ大きくなっている気がします。


AIオーケストレーション2026年版の現在地

2026年1月、
僕にとってAIは、
「開発を助けてくれる仲間」
でした。

2026年8月現在。

AIは、
「一緒に開発するチームの一員」
まで進んでいます。

そしてAIエージェントは、
単なるコード生成ツールから、
仕事そのものを進める存在へ変わりつつあります。

ただし、
僕は現時点では、
何にでもAIそのものを組み込めば良いとは考えていません。

AIをサービスの中心に置くより、
AIの得意な部分を裏側で使い、
ユーザーには安定したシンプルな仕組みを提供する。

その方が、
現状では安全で、
使いやすく、
運用もしやすい。

そう感じています。


まとめ

半年で、
AIとの仕事はかなり変わりました。

以前は、
人間がAIごとの長所短所を見ながら、
細かく指示を出していました。

現在は、
AI自身が文脈を理解し、
ブラウザを見て、
ファイルを操作し、
複数工程をまたいで仕事を進め始めています。

AIオーケストレーションをしていたら、
AIサービスの方がオーケストレーションを始めた。

そんな2026年夏。

では人間は必要なくなったのか。

少なくとも僕は、
まったくそう思いません。

むしろ、
AIが高速化するほど、
「何をやるか」
という人間の決断が重要になります。

そして、
時にはまったく関係のない話から、
妙なアイデアを持ち込み、
仕事を予定外の方向へ転がしていく。

そんな人間らしい脱線も、
まだまだ捨てたものではない。

AIという優秀な楽団員たちが、
とうとう自分たちで演奏を始めました。

僕はしばらく、
その横で、
「次はこれやろうぜ」
と言う係を続けてみようと思います。


半年前に書いた記事はこちら
【iPhoneアプリ個人開発のスタートをAIオーケストレーションで高速化してみた話(2026年1月現在)】